それでは詳しく図を見ていきましょう。
【朝日新聞デジタル版より】
1.家庭からの余剰電力が新会社に買い取られます。
2.家庭には買い取ってもらったので代金が入ります。
現在の買い取り価格よりも高い予定です。
新会社は買い取りと同時に家庭からのデータを集め、これと気象条件などから家庭に省エネアドバイスなどのサービスを提供します。
サービスといっていますが、新会社の電力入札販売(ネバーグシステム)にそれらのデータは必要なのです。
とはいっても、家庭に還元してもらえるのはありがたいです。
3.新会社に国から交付金がもらえます。
ん?
どういうことでしょうか。
気にせずに続けます。
4.新会社がパナソニックグループや新電力会社に電力を販売します。
5.新会社に電気販売代金が入ります。
普通に考えれば、家庭から買い取った電力をそれ以上の価格で販売すれば利益は出ます。
しかし、工場などでは現在、かなり安い単価で契約しています。
詳しくは知りませんが、十数円/kwh位らしいです。
ということは、パナソニックらがつくる新会社から今よりも高い値段で電気を買う理由がありません。
おかしいですね。
新会社はどこで利益を出すのでしょうか。
もうお分かりのように交付金で利益を出すのです。
お金が単純にもらえるのではなく、少し複雑な仕組みになっています。
現在の電力会社は、自然エネルギーを買い取ってどうやって利益を出しているのでしょうか。
38円/kwhで家庭から電気を買い取ります。
それを工場などに15円/kwhで売ります。(契約によって異なります。)
これだと完全に赤字です。
ところがここに国からの交付金が混ざります。
38円/kwhで買い取っても、国から28円/kwhほどの交付金が出ます。つまり38円kwh-28円/kwh=10円/kwhほどの買い取り価格になっているのです。
つまり、現在の電力会社は約10円/kwhで家庭から電気を買い取り、15円/kwhで工場に売ります。
5円/kwhの利益です。
もちろん、交付金のほとんどは各家庭から『再エネ賦課金』として徴収されているものから出されています。
これは太陽光発電をおこなっていない家庭からも、電線を引いているだけで徴収されるものです。
毎月数十~数百円くらいです。
今回、パナソニックらの新会社は、現在の買い取り価格38円/kwhよりも高く電気を買ってくれるといいます。
仮に40円/kwhで買ってくれると、新会社の利益は3円/kwh位になってしまいます。
しかし契約個数が多ければ利益も大きくなります。
まさに薄利多売ですね。
新会社の売買の仕組みについては、ソーラーパートナーズの記事が詳しいです。
やはり競争というのは必要です。
価格が安くなるだけでなく、新技術の開発にもつながります。
新会社には期待しています。
めでたしめでたし。
と終わるはずでした。
しかしまた腑に落ちない思いが蘇ってきたのです。